ドイツの証し  

2000年6〜10月末までドイツのハノーバーにおいて開催されている「EXPO2000」。僕はこの中にあるプロテスタント系クリスチャン・パビリオン「パビリオン・オブ・ホープ」で7月22日〜8月25日まで働きました。
 様々な国、企業団体などおよそ200団体が集まった万博の1番南、南ゲートのすぐ近くにある魚を形どった建物がパビリオン・オブ・ホープです。魚といってもほとんど鯨の形に近い建物ですが、その作りは「口」にあたる入口の部分では世界中から集まったミュージシャン、ダンサーなどがライブ、中に入ると30分刻みで伝道的なアニメーション映画そこから出てエスカレーターで上にあがると、発展途上国や戦災国の展示写真や募金者を呼びかけるコーナー、そこからゆるやかな坂を下がっていくと、ランチからケーキまで食事のできるビストロがあるというシステムです。僕はこの建物と僕らが宿泊していた施設『JAM−CITY』において様々な人と出会い別れ 教えられました。トータルすると20カ国ぐらいの人と話をし、知り合った人の数はその何倍にもなります。その中できづいた事などを書きたいと思います。
 僕はパビリオンで5週間働きましたが働いた場所は様々です。展示写真などのあるコーナー、ビストロの皿洗い、ビストロの皿洗いもう1週間、シネマ、ビストロの皿洗い3回目の順番です。そこで色々と学びました。
 僕がドイツで奉仕してきた中で一番印象的だったのは、多くの人々の出会いでした。もちろん神様のために働くというのが大きな目的ですが、神様はその目的のために集まった多くの人々が互いに励ましあえるという場も与えて下さいました。
 特に僕がビストロで働いていた時それを感じました。中でも僕達がドイツに行って2、3週目のビストロチームは常に笑いが絶えない場であり、一人が面白い事をいうとドッと笑いが起こりまたそれに別の人が面白い事で答えると、それが何倍にも広がるという状況でした。かといってダラダラとしているわけでもなく、忙しい時には頭を切り替え一つになって働いていました。しかもそれが意識せず自然と出来ました。
  『トビアス』という金髪の少年はいつも一番冗談を言っていたけど最後の片付けで忙しい時などみんなより先に片付けの体勢に入っていました。床掃除を必死にしていた姿はよく覚えています。  このように見ていると楽しい事ばかりで、うれしくて仕方ないだろうと思われるかもしれませんが疲れて部屋に帰ると孤独があり言葉によるストレスはどこでもありました。その他のストレスを合わせると多すぎて覚えてません。  
でもJAM-CITYやパビリオンがいやになったことか、日本に帰りたいとか、深く思い悩むことはありませんでした。いやな事は忘れるようにし、文化が違うんだと思うようになりいやな事でも日本では出来ない経験をしているんだと思えるようになりました。  それはビストロチームや僕以外の日本人ボランティアとの分かち合い、その他ドイツ語を英語に通訳してくれたドイツ人、日本で祈ってくれている人々に支えら力付けられていたおかげだと思います。いやな事を忘れるというような技で自分で一人で強くなったとしても支えがないためにどこかで崩れていたと思います。
 その他、食事などもおいしくないと思った事は何度もあるけれどいやになった事はなかったし、ベッドもグニャグニャで背中が痛いって言っている外国人がいたけれど僕はグニャグニャが心地よく逆によく眠れました。そしてパビリオンで20カ国くらいの人と話し、知り合ったことや、万博の様々な国が集まっていること自体も、国際交流や海外文化に興味がある僕にとって夢のような場でした。このドイツの奉仕が留学らワーキングホリデー他の海外ボランティアと違う所は神様のために働いている事の他にもう一つあります。それは「御国」でまた会え、永遠に一緒にいられるという事です。そかもイエス様のもとで。『フロリエン』という日本語に興味をもってくれた少年が僕と最後に別れる時に「御国で会って僕たちは日本語で話そう!」という言葉でした。もちろん難しい日本語なので英語で言っていたけれどこの言葉を聞いた時今までボンヤリと頭の中にあった「御国」というものが、確かなものとして心に迫ってくました。そしてこのパビリオンに本当に多くの奉仕者を集め、遣わし、恵みを与えて下さる神様がいう「御国」がないわけがないと思いました。
 あの5週間の奉仕を通して神様は目に見える大きな奇跡を表して下さる事はなかったけれど生活の中でつまり言葉、食事、睡眠、良き友、見習うべき人などを通して僕に現れて下さり恵みを与えて守ってくださいました。そして日本人ボランティアの中に意地悪な人などがいなかった事も恵みだと思いました。イライラしたり口喧嘩もあったけれど疲れているのに通訳をずっとしてくれたり、ベルリンに連れて行ってくれたり、その他心の疲れなどを心配してくれたりお世話になり本当に感謝です。もし意地悪な人などがいればあんなにもうまく5週間を乗り越えることができなかったと思います。  神様がこのドイツの奉仕をどのように将来へ結びつけて下さるのかはまだ分かりませんが神様の計画は真実なものであるから必ず僕のためになるものだと信じています。 (谷 勇作 大学4回生)

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